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アニマル情報202X

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ヒグマとバイソンの戦いの記録

『バイソンとヒグマの対戦事例』

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体高約185cmの最大級の大人の雄のバイソンと100cm(190kg級)、130cm(400kg級)、150cm(600kg超級)のヒグマ(グリズリー)の大きさの比較。

※画像は、アメリカバイソンとヒグマを対比させたもの。

両者は実際に生息地が重なっているので様々な事例が確認されている。

一般的には、ヒグマがバイソンを捕食する事はかなり少ないといわれる。

ただ、(恐らく)例外的な事例は幾つか報告されている。

比較的最近の事例では、地元で有名な大型の雄のグリズリーがバイソンを狩っている(イエローストーン)という。

この有名なグリズリーが実際にバイソンを襲撃しているところを撮影した連続写真も有る(現地の研究者のサイト)。

www.aspiringecologist.com

そのほかにも、以下の事例が報告されている。

『ヒグマが殺したバイソン』

※画像等は各リンクから引用。

(2010年の事例)

ヒグマとバイソンの戦いの記録_a0326028_00195103.jpg

The necropsy found significant subcutaneous hemorrhaging on the hump of the very healthy (lots of fat in the hump and marrow) cow bison, indicating that she was killed by a bear.

Grizzly bears often attack from the front, as opposed to wolves, which typically attack from the rear.

The bears basically give their prey a good swat in the face or jump them from the side and latch onto their back.

検査によって、非常に健康な雌のバイソンの背中のコブに多量の皮下出血が発見された。

これらの事実は、このバイソンがヒグマに殺された事を示していた

www.aspiringecologist.com

Along with the hundreds of bison we counted in the Madison, we also found a fresh bison kill in Cougar Meadows, complete with grizzly bear and wolf tracks.

It was a bison kill that had had its skull completely broken, probably from a good open-paw slap to the face by a grizzly bear.

恐らくヒグマの打撃によって頭の骨を完全に破壊されたバイソンの死骸。

www.aspiringecologist.com

(2017年の事例)

ヒグマとバイソンの戦いの記録_a0326028_00195840.jpg

8歳と11歳の大人の雄のバイソンがヒグマに殺された事を伝える記事。

記事によれば、数年前にもこの地域で、バイソンがヒグマに殺された事例が確認されている。

もし、二頭の大人の雄のバイソンの健康状態等に特別の問題が無かった事が確証されているのなら、対バイソンにおいてヒグマ(グリズリー)はかなり有利になる。

gospodarkapodkarpacka.pl

※ヒグマは地域によって体格差がかなり大きいので同じヒグマでも単純に一括りに出来ない。

例えば、190kgのヒグマと400kgのヒグマは総合的な戦闘能力がかなり違う(比較画像の一番左とその横ぐらいの体格差がある)。

(2020年の事例)

ヒグマとバイソンの戦いの記録_a0326028_15475975.jpg

イエローストーン国立公園で、若いヒグマが若いバイソンを倒した様子を詳細に記録した動画(2020年6月6日に追加)。

https://www.youtube.com/watch?v=okdEqk9FS7g

(360kg vs 450kg)

Walker's Mammals of the World (1999)では、360kgのグリズリーが450kgのバイソンを殺した事例が記載されている。

(グリズリーと4頭の雄のバイソンの戦い)

O.P.ブレランドによれば、グリズリーが4頭の雄のバイソンを次々と殺しているのが目撃されている。

もしこの話が本当であれば、相当に巨大で強力なグリズリーであったと思う。

(巨大グリズリーvs雄バイソン)

Great Bear Almanacによれば、巨大な雄のグリズリーが5-6頭の雄に守られた雌のバイソンの群れを攻撃した時に、向かって来た雄たちの中の一頭を打撃で簡単に倒した事例が有る。

その後、残りの雄バイソンらはヒグマに重傷を与えて追い払った。

(事実上のグリズリーの勝利事例)

2000年に、雌のヒグマが若い大人の雄のバイソンに実質的に勝利したと考え得る事例。

グリズリーが逃げるバイソンの背後から打撃を加えると、バイソンは転倒した。

続けてグリズリーは何度も攻撃を加えたが、バイソンが防御に適した溝に落ちた事等が幸いし、グリズリーの攻撃に耐える事が出来た。

その後、人に対する安全性等が考慮され、バイソンは人為的に殺された。

しかし、もし人の邪魔が入らなければ、怪我の程度から判断して、この雌のグリズリーは確実に雄バイソンを殺していたと専門家は結論付けた

the extent of the injureies already inflicted on the bison lead to me to conclude that given more time and less human interference, the grizzly would undoubtedly have killed the bull.

www.bearbiology.org.pdf

※1.雄バイソンの年齢は3歳と6カ月で健康状態に特に問題は無かった(怪我や病気は無い)。

※2.イエローストーンの雌のヒグマの平均体重は135kg(雄は192kg)。

www.bearbiology.org.pdf

なお、グリズリーが大人のバイソンを捕食したという報告はかなり稀。

(関連事例)

イエローストーン国立公園でグリズリーが必死で逃げるバイソンを追いかけている写真。

記事によれば、バイソンは何とか逃げる事が出来たが、あまりに酷い怪我を負っていたのでレンジャーによって翌日に人為的に殺された(バイソンの負傷に関して、グリズリーがどれだけ関与したかは不明)。

www.dailymail.co.uk

『バイソンがグリズリーを倒した事例』

なお、上記のGreat Bear Almanacの同じページでは、(負ける可能性も有るので)普通、グリズリーはバイソンを攻撃しないと記されている。

また同ページにはバイソンがグリズリーに勝利した事例が二例引用されている。

同ページでは簡潔な文章しか記されていないが、その内の一例はより詳しい他の資料によると以下のとおり。

1951年の6月、レンジャーによって発見された雌のグリズリーの体には、角で突かれたと思しき二つの大きな穴が開いていた。

また片側のあばらは全て折られていた。

周囲にはバイソンの毛や夥しい数のバイソンの足跡が残されていた。

状況証拠から、雌のグリズリーが若いバイソンに殺されたと判断された。

(もう一つの引用事例)

もう一つの事例も、グリズリーの体に角による大きな傷が有り、激しい戦いがあった事が認められた。

状況証拠的に、クマはバイソンに殺されたと判断された。

『グリズリーとバイソンの関係』

歴史的に生息地が重なっている期間が非常に長いので、両者の関係について、グリズリーがバイソンを殺した、逆にバイソンがグリズリーを殺したなど幾つもの事例や物語等が存在する。

もし、もっと時間が有り、更に根気よく探せば他にもそれなりの事例を発見出来るかも知れない。

ただ、イエローストーンのグリズリーは雄で195kg、雌で135kgほどしかない。

両者の非常に大きな体格差等を考慮すると、雌は言うまでも無く、並の雄グリズリーがバイソンに負ける事も有り得ると思う。

ただ、上の事例のように、350kg以上の非常に大きなグリズリーなら話は別かも知れない。

実際、平均135kgほどしかない雌のヒグマですら、(その時々の状況によっては)数倍もの体格を有する健康な若い大人の雄のバイソンに勝ち得る。

また、中にはバイソンキラーと形容される大きな雄のグリズリー(イエローストーン)すら存在する(それでもアラスカヒグマの平均よりは小さいだろう)。

それならば、平均でイエローストーンのグリズリーの2倍の体格を有するコディアック等のアラスカヒグマならバイソンに対して優勢になると考えても不合理ではない。

また、ヒグマの最大級は700kg級で、バイソンの1000kg級にそれほど引けを取らない(雄グリズリー約195kg対雄バイソン約600-1000kgの比率とは比較にならない)。

最大級vs最大級で、(身体構造上、体の動きが制限される事が多い)草食獣が腕や牙を駆使する巨大な肉食動物を相手に勝ち越せるだろうか。

(その他の関連資料)

www.nps.gov

Wolves and grizzly bears can kill adult bison, but predation has little effect on the bison population.

オオカミとグリズリーは大人のバイソンを殺せるが、バイソンの個体数に殆ど影響は無い。

(バイソンに関する詳細なデータ)

www.wildlifecollisions.ca.pdf

A few circumstances have suggested occasional predation by the grizzly bear (Ursus arctos) on bison calves and adults in Yellowstone National Park, Wyoming (McHugh 1958; Meagher 1973).

イエローストーンでグリズリーが子供のバイソンと大人のバイソンをたまに捕食している事を示唆する少数の状況証拠が有ります。

On occasion, bison prove too large an adversary for grizzly bears and may kill their would-be predators (McHugh 1972).

時には、バイソンはグリズリーにとってあまりに大き過ぎる相手となるし、捕食しようとする者を殺してしまうかも知れません。

なお、上記の論文によると、北米の複数の地域におけるバイソンの体格データは以下のとおり(複数の論文を引用)。

その中から幾つかの体格データを引用。

『詳細なバイソンの体格データ』

ヒグマとバイソンの戦いの記録_a0326028_13421721.png

※画像は下記論文から引用。

www.wildlifecollisions.ca.pdf

1.大人の雄で全長340cm、尾の長さ43cm、肩の高さ178cm、体重816-998kg(Soper 1964)。

2.大人の雄で全長304-380cm、尾の長さ33-91cm、肩の高さ167-186cm、体重544-907kg(Meagher 1986)。

3.大人の雌で全長213-318cm、尾の長さ30-51cm、肩の高さ152-157cm、体重318-545kg(Meagher 1986)。

4.大人の雄と雌で全長240-390cm、尾の長さ28-39cm、肩の高さ130-180cm、体重360-1090kg(Pattie and Fisher 1999)。

5.雄(7歳以上)で体重750-950kg(Wolff 1998)。

6.大人の雄で体重600-860kg(Rutberg 1984)。

7.大人の雄で全長304-380cm、尾の長さ43-48cm、肩の高さ167-182cm、体重460-720kg(Banfield 1974)。

8.大人の雌で全長213cm、尾の長さ45cm、肩の高さ152cm、体重360-460kg(Banfield 1974)。


by batpope587 | 2019-12-23 12:00 | ヒグマ | Comments(0)
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